人狼物語−薔薇の下国

549 月下薔薇


木こり イェンス

[そっとサシャを寝台に横たえながら、末期の痙攣さえ
 逃すまいとするように強く抱き締める。
 いっそのこと、縋りつくように。

 ……やがてサシャが動かなくなったなら。

 光の失せた新緑の瞳をそっと閉じさせ、
 微かに寝台を軋ませながら腹部に牙を沈めていく。
 甘い血肉を幾人も味わったせいか、随分と変身が自在になった。

 月明かりの元に召された彼女たちは無に帰した訳じゃないのだと、身をもって感じる。月は、あまりにも無慈悲に美しかった]

(23) 2021/08/05(Thu) 23:05:34

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