[腕の中に納めたひとは、この姿を見ても取り乱しはしなかった。問いには二つの頷きで応え、抱えた身体をさらに引き寄せて、耳元に唇を寄せる。名を囁くため ── ではなく、彼から漂う熱いいろの匂いに惹かれていた。]