[態々怪我の原因を尋ねた、ということは、
カーク"も"人狼については何かしら知っているのだろう。
ダーフィトは心の中でそう結論付ける。
だとすれば、……――疑われている?
離れた距離はそのまま精神的な距離の離別にも感じられて。
無意識のうちに加えて唇を噛んだ、その直後。
目の前でカークの体がゆっくりと倒れてきた。>>6]
…っ、おい!!カーク!
[何かを掴もうとでもするように伸ばされた手を掴み、
咄嗟に引き寄せれば、彼の長身を床へ投げ出さずに済んだだろう。
近付けば嫌でも分かる、血臭が鼻について
ダーフィトは口の中で悪態を吐いてから彼の身体を壁へ凭せ掛け
手首を手に取れるようなら脈を測ろうとした。
抵抗されなければ頻脈を起こしていることが知れただろうか。]