[足が使えぬ分体を支えてきた兄の手は、存外無骨だ。 応えるように差し出したこちらの手は何故か交わされ、そのまま片腕で抱き寄せられる。 思いっ切り舌打ちしてみせたが、突き放すことはできなかった] くだらん心配はするな。 お前はちゃんと、家を守ることに集中しろ。 その頭、筋肉より鈍らせたら承知しないからな![説教のような口調に、兄は相変わらずだな、と言って笑った。 子供の頃から何度も支えてきた兄の体は、重みを預けることはないまま、けれど名残惜しそうに離れていった*]― 回想・了 ―