[その傍らに歩み寄り、ぽん、と肩に手を置く。>>5
にこ、と崩した相貌は、先程までとさして変わらぬ笑顔で、
それよりは少し、落ち着いたもの。]
だーいじょうぶ、
センセイも非常時の避難訓練の経験とか、あるでしょ?
あれを思い出して。
それに、ほら、ここにいるのは警備員さんです。
何も心配しなくていいから。
[耳を澄ます。
通路から音が聞こえてくる。
乗客の足音、それだけだろうか?
何か、他の物音もしているように思えた。
次に口を開こうとしたときに、折しも聞こえてきたのは、全艦指示のアナウンス>>10]
ああ、指示も出た。
センセイ、もし誰か怪我人が出るようならそのときは頼む。
けど、乗客の安全を確保したら、直ぐにあんたも避難。
大丈夫、身の安全は保障する。
――いいかい? 外、出るよ。*