[ノックの音が聞こえる。
手記として綴られた数枚の紙を記録誌に挟んで顔をあげた。]
どうぞ。
[促せば扉はゆっくりと開いただろうか。
カシムがそこに立っていれば、微笑みと共に入室を許可する。
名前を間違えていた件は
ドロシー本人よりも先にフィオンにより正されたようだった。
食堂でのんびりお茶を楽しんでいたところに
あちこち走り回ったのかへろへろになったカシムが現れて、
謝罪を口にできるようになるまで水を飲ませたりと大変だったが
それがかえって功を奏したのかもしれない。
あれ以来、接する際の緊張がいくらか緩和されたように思う。]
何か記録をお探しかしら。
それとも私と話しにきてくれたのかしら。
[半分冗談で口にして、今日は水ではなく紅茶を振舞おうか。
食堂ではないので紙コップでの提供になるけれど。*]