[郷を出発して、まずは麓にあるもう一つの氷人族の郷で馬を乗り換え、荷馬を返す。
目指す地に辿り着くまで、それを何度繰り返したか。
行く道に困難は無かったが、郷から出た事の無い自分にとっては何時かの青年に聞いた話をなぞっていくようだった。
>>0:86彼の旅の出発地点が近くだと聞いていたのも、思い返す理由の一つだっただろう]
…ホント、世界って広いんだなぁ。
[進めば進む程変わっていく景色を見ながら、彼が零した言葉を繰り返したのはもうそろそろ目的の地に差し掛かる所。
かつての憧れを、まさか自分が目にする事になるなんてあの時は思ってもみなかったが─
もしかしたら、彼に会う事もあるかもしれないと思うと同時、胸に過った痛みに首を傾げた。
押し込んだ記憶の中、>>0:88夢を叶えた頃に来ると言った彼の言葉に応えられない苦しさがその理由とは知らず]