[近く、遠く、薄青の空を気儘に舞う黒の羽を眺めながら、細く骨ばった指先が鍵盤をなぞるように土を叩く。何かを確かめているようだ。
しばらくそうしていると、背後でさくり、と足音がした。かけられた声>>22に振り向けば、真っ白で大きな塊がこちらに向かってくるのが見えた]
お、うお!?
[真っ白で触り心地が良さそうな毛並み、茶色の瞳。一瞬山の獣かとも思ったが、人に慣れた様子の]
犬か、君は犬だな! びっくりした、こんなところで人や犬に会えるとはなあ。
…君を撫でてもいいかい?
[その犬はどうしていただろうか。
彼か彼女かは分からないが、その目を覗き込み、右腕をひょいとあげる。肉付きの薄い棒のような腕が、いかにも犬の足のような動きをした]