― 上層 ―これか。[ 道を潜り昇った先、閉ざされた門の前に立つと、躊躇う事無く、絆石を埋めた右手を押し当てる。やがて紫水晶と金剛石の輝きが重なり、門の向こうへと、新しき柱達を招き入れた ]あれが『虚無』......[ 天に近い場所、どこよりも清浄な空気に満ちる筈のその場所で、唸りをあげて蠢く暗黒。流動する巨大な暗黒の煌めきは、星を呑み込んだ軟体動物、或いは、膨れ上がる絶望そのもののように見える ]