……あ……れ……?
[広間に繋がる扉が開き、覗いたのはまだ名前も知らない、例の血の服の男性だった>>21。
その血は乾き、見た目にもゴワゴワとしていて、すっかり黒ずんでいる。
───怪我はしてない……
───アイツから逃げなきゃ……
そんな事を言っていたなぁと思い返す。
服は前側が大きく血に染まっていた。
それもかなりの血の量で……
───逃げて……いた……?
あまり食べていないことと異常事態に妙に頭が回る……
ふるふる、と頭を横に振り、思考を停止させる。]
あ……の………!
[思い切って出した声は、外の喧騒に掻き消されずに届いたか。]