[──その冬、彼女に人狼であることを告白された後、「へぇ、そうなんだ」と反応を返すと、彼女はどのような表情を浮かべただろうか。]
――ふふっ、そんな反応をしたのは貴方が初めてよ。
[確かであるのは、彼女がとても愉快そうにしていたこと。彼女としても、此方が嘘など考えられないし、考える意思すらないような人間であることは既に悟っていた。そして、己としても彼女が人狼であることに疑いなど持ち合わせていなかった。
その上でこのような反応を示したのが余程嬉しかったのか、はたまた彼女の理想に適う反応をしていたからなのか、何れにせよ彼女に気に入られてしまったのは確かだった。]
――良いわ。空っぽな貴方に、私の願いも理想も全部あげる。生き方を、教えてあげる。私が、貴方の存在を望んであげる。