― キサンへ ―
[キサンへの道中、棟梁をはじめとする大工一行はみなそれぞれに加工された角材をいくつも抱えていた。
普段は荷車を曳いている馬も、角材や鎖などを背に振り分けて運んでいる。
いつも使っている荷車は頑丈なのが取り柄だが、静穏性など無いに等しいために、必要な資材は自分たちの足で運んでいくことにしたのだった。
無事にキサンまで到着すれば、弟子たちが持ってきた物の仮組みを始めたり別の資材を工房に取りに行ったりしている間に、自分はチャールズの工房に同道させてもらいたいと告げる。
炭を借り受けることと、もう一つ頼みもあった。]