― 回想/12年前 ―
[その日々の終わりは、唐突に訪れた。
いつものように、刀の修行をして、次に父と共に出かける日に備えて。
次はどんな動きをやってみようか、なんて考えていたその時に、異変が起きた]
「……里に、魔物が入り込んできた!」
「戦えない連中はすぐに……」
「結界を重ねろ! 他の集落に、報せを飛ばせ!」
[何の前触れもなく、故郷の里に襲い掛かってきた魔物たち。
妙に組織的に動くそれに翻弄され、里は壊滅状態に陥った]
……なんでだよ、俺だって、戦える!
[混乱が広がる中、里長である祖父は自分に逃げろ、と命じた。
当人はこう主張しているが、当時10歳の少年にできる事は推して知るべし、である。
とはいえ、その時は言われた事が納得できなかったからしばらくごねたが。
結局、実力行使も含めて説き伏せられ、あるものを託されて脱出する事になったものの。
脱出行の途中で魔物に襲われ――少年の消息はそのまま途絶える事となる]