――兄のおこぼれで家を継いだなんて、それこそ恥だ。
俺は実力で、自分の地位を手に入れてみせる。
そのためにずっと、兵役を見据えた訓練を積んできたんだ。
[両親が何か言いたそうにこちらを見ている。
励ましのための方便が、いつしか息子の目標そのものになっていたことに、今気付いたのかもしれない。
戸惑う様子の両親を余所に、兄は杖を突きながら数歩前に出た。
そして右手を、セルウィンへ差し出す]
『好きに生きればいいさ。
でもまずは、兵役を無事に終えてから、だろ?
兵役からの出世以外にだって、道はある』