─ 城門前 ─
[ 軍の混乱が一旦収まるまで
あたしの仕事は城門前の警備……
……という名の待機になったの。
招集が掛かる可能性も高いけれど
まだ上層部は事態把握に奔走していて。
それまでは、下層のあたしたちは
城の警備を強めるほかなかった。
だってすでに国中に訃報が知れ渡り、
城に押しかけてくるような民も
ええ、少なくなかったから。
亡き王を偲ぶ人だけであればいいけれど
混乱に乗じて……という可能性もあるでしょう
勿論まだ、
次期国王の話は街には出ていない筈
だからこそ、尚更。
城門内に、民を入れる訳にはいかないの。 ]
(どうして……)
[ あたしの頭はそれでいっぱいだったけど
ええ、それから、なにが始まるのかも
多分、考えに至らなかったんだと思う ── **]