アデル下士官、今日はここまでで構わないわ。
明日は続きから始めてちょうだい。
[上級官から手伝いとして貸し出しをされている部下を帰して
半分趣味のような時間を過ごす。
古い記録を浚うのは配属当初から好きだった。
記録官という職務を選んだのもそのためだ。
昼間見つけた記述を改めて追う。
狼化病が軍内で発症した事例が細かく記された録は
記録誌とは別に綴られていたからおそらくは個人の手記だろう。
発症者が射殺されるまでに3名程の犠牲者が出たらしい。
戦闘でもなく昨日までの友人を殺す時、何を考えたのだろうか。
殺して何を得られたのだろうか。]
……… 。