―儀式の間―
[いや。しかし今はハールトだ。
王子を探すさなか>>11、現在の優先事項を思い出した。
先遣隊の隊長はライナー。
信用に足るものかと言われれば返答に困るものの、主君に重宝される程度には力を誇示している人間。
これまでに作り上げた補給路の様子を、鏡を通して確認する。
問題は無い……むしろ、十分すぎるほどと言えただろう。
ライナー隊の士気も練度も悪くないし、十分に準備もする者であった。
あれでいて、己の欲のためならば慎重になれる男だ。
己の欲に忠実であることは、この状況に置いては美徳と言える。クレステッドはそう思っていたし、恐らく主君も同意見であろうと踏んでいた。
……だが。
歴戦のカンとでも言うのか。何か、胸騒ぎを覚えずに居られないのも事実であった**]