カラス?
“……Nevermore, nevermore”、か。
[鳴き声にふと頭上を仰げば、樹木の枝間を縫い空を舞う黒影。
木漏れ日の眩さに目を眇める。ある古い物語の記憶をなぞるように
どこか自嘲めいた呟きを零し、ふっと唇を歪めた。
胸元の、銀色の鎖に繋がれた分割式のドッグタグが
擦れるように触れあって、囁くような微かな音で鳴く。
半円形の2枚のそれは、さながら上弦と下弦の二つの月のように]
…おい、お嬢さん、どうしたんだ?
迷子にでもなったのか。
[山道の先、少し開けた場所で鞄の上に座る人影>>7が見えれば、そう声を掛けた。あの足跡の主だろうか。
人懐っこいフリーデが、しっぽを振りながら嬉しそうに
彼女の方へ駆け出した**]