―広場―
[歩きながら、今日読んだ本の内容について思いを馳せる。精神に関わる本を何冊も書いた著者の、中でも特に厚い一冊。
ひとつの殺人事件……子殺しの真相を巡る話でございました。まだ最後まで読んではいないが、真実がどうであれ、そこには悲劇的な結末だけが待っているのだろう……そう思うと、やるせない。]
[今日も、広場は賑やかです。
顔を上げると、軍服の青年が目に入りました。……軍人。軍人は苦手です。この村に来た時のことを、思い出す。私を最初に保護したのも、こんな軍服のおじさまでした。]
……お仕事、ですか。
[……いくら苦手でも見てしまって素通りしてしまうのはどうだろうと思い、小さく、声を掛けて頭を下げてみました。]