― 古城 ―[明かりと言えば、壁龕にぽつりと置かれた蝋燭の、揺らめく炎しかない暗闇の中で。暗い廊下に響き渡る、ガチャつく金属音。ジ…と炎が頼りなく揺れ、淡い光が廊下を往く一団の姿を浮かび上がらせる。] ちぃと待っとうせ。 もう逃げたりせんけえ。[その中の一人がウンザリした声で手を振ると、手首に付けられた手枷がジャラリと鳴り、明かりを反射して光った。]