― パン屋の前 ―[記憶を辿りながら、宿屋へと向かう道すがら。鼻に届く美味しそうな匂い>>11に、思わず足を止める。そういや、長い間出来立てのパンなど口にしていない。男の手はパン屋の扉へと伸ばされるが、すぐに引っ込めて。] ………財布の紐がゆるくなって、いかんな。[暫く宿に世話になるのならば、無駄遣いは出来まい。自分に言い聞かせるも、やはりどこか諦め切れない様子で。身体中に怪我を負った男がパン屋の前で迷う様は、さぞおかしく映るだろう**]