― 公国前進拠点・個人執務室 ―
[一人きりの執務室で、じっと通信石を眺めている。
すぐ傍らには、フレデリカの認識票を置くままに。
相手の反応を待つように少し沈黙し、言葉を続けた]
東西寮の対決は毎年恒例だったが…、ああ。
今時期は寮生総会の頃だったか。
西寮は早く
[注意深く。他には分からないよう、思い出話のようにして。
ミヒャエルがいてくれたらと、こんな時は思わずにいられない。
彼ならば、帝国本国の意向を調べ得たであろうか。
和平は片側の意向だけでは成し得ない。
公国からも、敗北による降伏は出し得ない。
相手に意があれば、戦況を測ることも可能となるであろうが、]