[瞬間、蒼く巨大な火柱が、熱と風を巻き起こす。
全てを焼き払うかの如き炎の渦。その中から。]
……ズ。
[影のように黒い、巨大な手が伸びて。
床を強く叩き、砂埃をあげながらめり込んだ。
轟音。そして、次に現われるのは、やはり黒い頭部。
影には鼻も耳も口もなく。ただ、目の部分に青い光が宿っていた。
ずるりと這い出してきたのは、上半身のみ。体が大きすぎるのか。それとも、未だ全身が形成出来ていないのか。
多くの人の命を飲み込んだエネルギー体は、やはりヒトの形をしていた。口に当たる部分に、切れ目が入り、穴が開いて。]
オオオオオオオ……!
[黒い巨人が、吼える。
一掴みで人間を捕らえてしまえそうな腕が、ヴェルナーへと伸ばされた。**]