― 夜明け ―
[眠っていた。ベリアンの血を口にして、渇きは幾分癒えたとは言え、消耗が激しく。体力を使いたくなかった。
兄弟のどちらかが吸血される…。その瞬間は…見たくなかった。
…音がする。風が唸るような。
熱 灼熱の 舐めるように 走る炎が流れ込んで来る
ジェフロイは反射的に身を起こした。
その瞳は半ば紅く。周囲を見回すと焼却炉の扉が開き始めている。
その前にレト、狼のクレステッドがいる。
彼らはもう目覚めているだろうか?
カシムが部屋の隅から焼却炉とは反対側の扉へ転がるように走り、鉄格子を叩く。
――「処理施設」
その意味を正しく理解し、蒼白になる]