[自由自治区の領主を長年勤めれば、外部から嫌悪されることは珍しくない。
忌々しげな視線を鼻でならして一蹴する。]
勿論。そのためにレディを呼んだ部分はある。
ま。そちらから簡単に諦めてくれれば、それで良かったけど――。
[果てしない底を見続けたような、双眸がイングリッドを穏やかに見つめる。
いつものように、落ちついた声。特に武装もしていない無防備な姿で。]
別に。…俺は「富」を得る奴らを馬鹿にするつもりはない
レディ、お前は他国の人間だ。だから知らない。
――……だから。
俺が素知らぬ振りをして、とっとと利権を渡すことは出来たんだぜ?
大量の死人が出ようがお構い無しにな。
[鉱脈の真実に触れる。その声に抑揚はない。]