― 森の奥 ―[やっと辿り着いたその場所に、目指す者は居た。星も月もない夜の森で、ディークとふたり手を繋ぎ、対峙した。そうして、ディークの傍らに立って、傲然とあかがね聳やかし立つ。バランはどう感じただろうか。自分の数倍の齢を重ねた、怒れる長生者を相手にせねばならぬことに、内心怖れを感じただろうか。それとも、たおやかで自堕落な花など、摘み取り蹂躙するも容易いとほくそ笑んだだろうか。何をどうしようと考えたにせよ、それはそれほど長い間のことではなかった。]