― 行軍中 ―[東を目指して馬を駆けさせる猿の親玉の手首には、カラフルな腕輪が嵌っている。ほんのり香る小袋は、無くしちゃいけないからと懐に納めていた。目ざとく見つけた猿の仲間から「なんすかそれ」と訊かれて、にやにや笑う。] やー。 俺ってばモテちゃって仕方ないからなー。[「へー」と相槌打った方もにやにや笑う。女の子から贈り物をもらうことは多いけれど、普段は横流しばかりして、自分で身に付ける事なんてない、と知ってるにやにや笑いだった。*]