―起床後―
[甘い柑橘の香りに鼻腔を擽られ、意識は静かに浮上した。
台所に顔を出すと、鍋の前に立つルートやカスパルの姿があり
『おはよう』と挨拶を述べ、パンやサラダを運んで
簡単に食事を取った。
消沈した様子のファミル>>15に気づき、
手伝えなかった事に落ち込んでいるのだと
――それ以上の深い理由は察せぬまま、
その柔らかな白金を撫でただろう。
こういう場では各々、自分ができることをすればいい、
そう伝えたかった思いが届いたのかは、謎で。
朝食後、ローゼンに布団の場所を聞こうと彼の姿を探すが
ローゼン本人よりも先に、クローゼットに仕舞われた羽布団と
毛布たちを見つけた]