―甲板―
あーばよー、我がふるさとよー!オレは必ず帰って来るからなー!
[甲板へと躍り出れば、さっそく街が窺える所まで走り、誰にともなく両手をぶんぶかと振り出した。
別に、誰かが見送ってくれているとか、そういうわけではない。単に気分である。
気が済めばその後は静かに遠のいていく街の灯りを眺めていたが、不意に背後から足音が響き、振り向いてそちらに目をやる。
>>6そこには、灰色がかった耳と尻尾を生やした青年が立っていた。ひとりごちるような彼の言葉を聞くに、どうやらこの青年も街の灯りの遠のく様を見に来たようだ。]
いよっす!にいちゃんもローゼンさんの客か?
オレ、ノトカー。しばらくの間一緒に旅する仲間として、よろしくな!
[目が合えば頭を下げてきた青年に、人懐っこい笑みを見せながら無遠慮に歩み寄り、挨拶と共に右手を差し出す。]