[倒れた艦長の懐に手を差し入れ、鈍く光る鉄の欠片を手にすれば握りしめた掌の向こうに、どこか空虚な笑みが浮かぶ。] ………………悪いな……。[人一人の生命など、こんなにも呆気なく散ってしまう。かつては友の血を浴びて慟哭していた男だが。自らが奪った相手の亡骸を前に、今は涼しげに紫煙を吐くのみ。]