─0日目・AM11:00・エントランス─
[こちらの家名には聞き覚えはあるようだが、少し考え込みながらも特に気にする様子の無い相手>>16に金の瞳が一層弧を描いた。まさかシェーンベルクを知らない人間に出会えるとは思わなかった。
――合宿の間の良い暇つぶしになるなぁ。
そんな思考は胸中に押しとどめて、今は人のいい笑みのまま相手の言葉に耳を傾けて]
……ああ、モルゲンシュテルン。
曾祖父から何度か聞いたことがあるよ、その名前。
[ふと、彼の声が小さくなれば首を傾げた。聞き取れなかったからではなく、幼い頃、曾祖父に寝物語の昔話をねだればよく出た名だったからだ。とはいえ、人間の歴史でいえばかなり昔の話なのだろうが。
相手が目を伏せると一歩近寄ってその視界に更に割り込み、手を差し出して握手を求めて]
僕は……あれ、何の専攻で通ったんだろう。忘れちゃった。
でも、魔科学ならきっと一緒に訓練することになるよ。
よろしく、レト。