[その店は広場から少し外れたところにある。住人がいなくなって廃屋と化していた建物を、わりと安値で譲り受けたもの。看板だって街の仕立て屋のような洒落たものとはいかず、木板に店名を自分で書いて店の外にぶら下げた。白銀の村唯一の仕立て屋、その名は『Bleiche Mond am Morgen』。その意味は――明け方まで空に残り蒼白く光る月]