[結果的に母親の死は、野生の獣による事故だということで処理されたようだった。周囲は一人残された子供を哀れみ、教会に引き取られるということで落ち着いた。母が信者だったことも関係していたのかもしれない。
…暫くどうすべきなのか随分と悩んだ。正体が知られてしまえば恐らく共存は出来ないだろうと思った。
人狼の伝承自体は己の出生を知る前からモーリッツ達に聞かされ耳にしていたから。ただ人狼については調べても、その対策を伝承以上に調べることはしなかったが。
もしバレた時自分がどういう末路を辿るのか。あまり知りたいものではなかった。
人外の負い目を感じながらもその血を封印し、人として生きていこうと決めたのはこの村に友人たちが居たからだ。
こんな自分に良くしてくれた、大事な幼馴染達。
居場所を失いたくなかった。]