有り得ん。[思わず零れた言葉は、寒さに対する感想だった。口元を隠すようにマフラーを巻き、コートを羽織った完全防寒体勢の上でのことだ。それでも寒いものは寒い。街道を覆う白い雪の絨毯に真新しい足跡を付けながら、向うのは幼馴染の元。既に看板はOPENになっていた。寒いのに相変わらず朝が早いなと半ば感心すると、そのまま店内へ]珈琲。[目的の人物を見つけると、開口一番そう告げた。愛想の欠片もない]