― 夢の中 ―
――大義名分があれば、受け入れて貰えるとでも思ってました?
[自分によく似た誰かが囁く。
煩いと、拳を振り下ろせば、姿は霧と掻き消えて
今度は背後に現れた]
――なんであの時、あの方に言わなかったんです?
[投げかけられた言葉に、すぐに返答することはできず、男は相手をただじっと睨むだけ。
睨まれた方は大げさに、怖い怖いと肩をすくめ]
――なぁんで、パメラさんが襲われたことを教えてもらえなかったんでしょうねぇ?
[それは心臓を抉り出すかのような一言。
男はビクリと肩を震わせるだけで、何も答えられなくなってしまう。
その時の相手の様子を見れたなら、音を届けるどころではなかったのだろうと、考えることもできただろう。
それが叶わぬ状態故に、男の中の猜疑心と被害妄想は膨れ上がり――…]