[名乗られたのは、やはり記憶に違わぬ名だった。剣を取ったか、と奇妙な感慨を覚える。後背では、兵たちが沈黙のまま隊列を組みなおしつつあった。泥地を避けて新たな列が形作られていくさまは、無機的な美さえ感じさせる。名乗った後、沈黙を落とした相手を、特にせかすことも無く待った。そして、どうしてという問いに、力を失った声に、眉を上げた。]