『さっき、近所のやつがいきなり眠っちまって、いくら声掛けても目を覚まさなかったんだ。
とりあえず医者の所に任せてきたが、もしかしたら……』
[その証言に触発されたように、似たような出来事の噂が飛び交い始め、その場の花精たちの顔には一様に不安が浮かんだ。
貼り紙の真正面にいた赤髪の花精も、例外ではなく]
そ、そんなこと……。
本当に、起こってるの?
[信じたくない気持ちが強いけれど、末尾のサインは街の長のもので間違いないらしかった。
噂でざわつくその場を抜け出すように、人ごみを擦り抜けると宛てもなく駆け出した*]