―兵舎付近―
『おい、そこのお前、お前だよイカレ野郎』
[振り返り、声をかけてきたのはいかにも甘やかされてきましたというオーラを感じるもの。
軍服が非常に似合っていない。なにより体型が横に広すぎる]
『知っているぞ、お前特務部隊のやつだろう。
人を殺すのがなによりも好きらしいな』
[なにごとかと、人が集まってきて、ため息ひとつ]
『お前みたいなのが戦争長引かせるから、こんなにみんな苦しんでるじゃないか』
『そういえばあいつ、たくさんの認識票磨いてたぜ、コレクションしてるのかよ…』
『ピアスとイヤリングとか、あれ死体からもっていったんじゃないの?いっちょまえに人間のふりして着飾ってるつもりかよ…』
[周囲からの賛同の声や、揶揄する言葉]
『大公様だって大臣だって、お前たちが殺したんだろ!?』
その質問には、私から答えられない。