― 湖畔 ―
[煌めく風を追い辿り着いた湖畔。
空から降り立ち状況を把握しようと見回す。
湖には島があり、そこに通じる菫青石の一本橋が架かっていた。
島には何やら建物がある。
しばし様子を見ていると、イェンス達がそちらへと向かうのが見えた]
……そうか、アイツら、掴み取ったんだな。
[自分達を乗り越えていった者達が願いを掴み取ったことを悟り、柔らかな笑みを浮かべる。
不思議なものだ、己が負けた相手が、己が手に入れられなかったものを手にしたことが誇らしい。
掴み取れ、と言葉を向けた時と同じ心持ち。
羨望ややっかみは不思議と上って来なかった]