[殺された兄が見つかった日からずっと思っている。
大切な一人息子が死に、養い子が生きている。
一体帰ってきた兄の両親はどう思うだろう?
二人が帰って来る筈だったのは、皆が宿に集まりレジーナが凍え死んだ日。彼らすらも、そんな可能性すら大いにあった。
何も無かった。
わたしにはもう、何一つ。
その中で生きてきた理由は、明確
死を選ぶことなどいなくなった者たちを思えば許されないからだ。
まだ、彼らがいるからだ。
一人は心を痛めながら、誰より前に立って皆を導いた
一人は同じものを共有し、誰より人間らしかった。]