―哨戒中―…………。[生温く、馬上をゆく男の頬を夜風がなぶる。 ちらりと、手綱を握る左手を眺めた。 あれから開いてはいない通信回線。 そうするには心を決めかねているのに、…何度も、そのスイッチに手が伸びそうになる。] (……金か情報、か。手持ちは豊富ではないし、傭兵団もかつかつの状況だが)(だが、何らか都合してもいい。国許に帰れば何とでもなるだろう。ならねばあとひとつふたつ戦場に出ればいい)(彼ひとりくらい……きっと、……救える……)