[そして死に絶えていく母親から告げられた一つの事実。
行方不明とされていた己の父親は「人狼」と呼ばれる種族であったこと。自分が生まれた後しばらくは3人で平穏な生活を送っていたこと。だがある日父親の血が目覚め、一つの村を滅ぼそうとし、最終的には人の手によって処刑されたこと。母親は生き残ったもののそこには残れず、村を転々としていたらしい。
そして自分もその血を継いでいること。
本格的に血が目覚めれば人を喰らう異形であること。
そう淡々と告げ、息絶えた。
…母親が何故、自分を捨てなかったのかは良く分からない。
幼くても人狼に恨みを買い、復讐されるのを恐れたのかもしれない。あるいは、それでも我が子だと愛情を注いでいてくれたのかもしれない。
分からないけれど、認めざるを得なかった。
己は人とは相容れない、化物なのだ。]