兄さん……?
[喉が引き攣った音を漏らし、それ以上言葉が出ない。
汚れるのも厭わず──いや、それも認知出来ないまま
一歩、一歩。ふらふらと最愛の兄に歩み寄っていく。
本当は、ただ会いたかっただけだった。
わたしは今でも怖がりのままで、誰かに助けてもらえなきゃ自分の不安も消せなくて。
どれだけ口煩く言ってもこの人が大好きで、心の支えにしていて──
呆れるような呑気な言葉を、
飽きもせずに欠伸を発する喉が潰されている>>1:354
胸には何かを突き立てた跡──>>1:355
他にもまるで獣に襲われたような痕跡があったのだが
真っ白になった頭で妹が認識出来たのは目立つその二つ。]