―深夜―[連れ出したのは、見張りの手薄な時間帯。そして、連れてきた場所は、警戒から外れがちな短艇甲板。] やれやれ、工作員だの何だのという話を調べるってんだから、 それ相応の警戒は必要でしょうに……。[苦笑い混じりの声が響く。煙草を咥えたままなせいか、その言葉はどこかたどたどしい。いつもシガーを手にしている手には、細いロープが握られ。飾り物と揶揄された艦長の首を、容赦なく締め上げていた。]