[そう一言告げると黙り。ぐいっとグラスを煽った。シモンは何か反応しただろうか。暫くして言葉を紡いだ]
……お前とディーターが戦争から帰ってきてよ、んで疎遠になっただろう。あれ見ててこいつらほんとふざけんなって思ってたんだ。お前とリーザがいつまでもぐるぐる悩んでんのも見てて苛々していた。
ずっと気に食わなかったんだ。お前らのことが。
「人同士」なのに、本当はやろうと思えば分かり合えんのに、それをしねえっていうのが。
本当に妬ましくて羨ましくて――大嫌いだった。
だからな。
こうして、最後にお前らがちっとでも和解してくれて。…救われたんだ。ありがとよ。
…別に俺が言うことじゃねぇけどな。
[先程のリーザとシモンの会話。それにいつかのシモンとディーターのやり取りを思い出しながら、そう告げた。
小声で紡いだ部分はきっと聞き取れなかっただろうけれど。*]