――騒動の終結後――
[ドロシーの遺体と共に発見されたカスパルは、騒動調査を仕切っていた者としてもきつく訊問を受けた。
だが、ドロシーとサシャが双方自害していることは検死結果からも疑い様がなかったことと、ドロシーのメモは確かに彼女の筆跡であること、彼女が自害した銃は訓練場から彼女自身によって持ち出された物であること。
状況証拠がいくつも詰み上がり、結果的にカスパルは無罪とされた。
到着した本部からの責任者にフィオンから託された包みを届ければ、その場に留まるようにと強く命令される。
その場で狼化病の検査を受けろと命じられ、精査の結果上は発症していると判断される数値が示されていた。
診断を告げられ、検査のやり直しを提言する。
発症していないのは、カスパル自身が誰より知っている。
渇きも飢えもなく、血は錆びた鉄の臭いのままだ。
発症しているなどありえない、と再三度断言したカスパルに、治験参加命令が下された。]