― 森の中 ―贄、ねえ…[ 主従と別れた魔人は、大鹿を湖畔に向けて歩ませながら、小さく独り言ちて、そっと息を吐く。 ]どっちかというと、求めるよりも、捧げるほうじゃないかな?世界の柱なんてものまで務めた酔狂なんて。[ ねえ、姉さま?と、風に乗せる声は、厭うでも嘆くでもなく、ただ少し、笑うような色を帯びる。** ]