[『Grow Universe』という場所は、最初は、『逃げ場』だった。
好んで話す事ではないので知っている者は限られているが、父は『
それも、文字通りの『外』――『こことは全く異なる宇宙』からの。
そんな事情から無意識の内に他者との距離を開けていて。
現実から少しでも逃げたいという気持ちから『Grow Universe』のテストプレイヤー募集に応募して、そのままはまり込んだ。
ゲームの中では、現実のあれこれを気にする必要もないから。
それに安心して、入り浸って――その場所で、罠にかけられて。
それまで、知る事もなかった異能が目覚めて――それが引き起こした事態に、恐れを抱いて。
その恐れから逃げ出した、というのが隠居の顛末]