─→ゲルトの家─
おはようございます、ゲルトさん。いらっしゃいますかー?
[勝手に家に入り込む女に、果たしてジムゾンは何と言っただろうか。それとも共について来てくれただろうか。
玄関先で深く息を吸えば、修道女として振舞っていた時には出した事のないボリュームの声を出す]
……反応ないな。寝室かね。
[独りごちて、そうして家の中へと進む。
そうして暫くした後、シーツにくるまっているゲルトを見つけただろう]
あら、そんな所で寝ているんです……
[果たしてゲルトを見つけたのは、家内のどこだっただろうか。
何重にもシーツに覆われた彼が転がっているのを見て、その顔にいつもの様に眠っているのかと一瞬思えた。
だからこそ告げた言葉は、けれども]
[最後まで言葉にはならなかった]
……血!?