― 食堂 ―
美味しそうね…。
[目の前には、カツドンと呼ばれる料理。明るい茶色と、卵の黄色と白が交じり合った食欲をそそる色合い。
辺りに漂う香ばしく、甘い香りに声を漏らした。]
―――っ、!
[フォークでそっと肉を刺し、衣に包まれ、卵で閉じられたそれを口に運び――思わず声をあげそうになる。]
これは、
[美味かった。ほんのりと甘い味付けをされた卵。それが肉を包んでいる衣から染み出した汁と交じり合い、口の中に甘く広がる。
汁を吸いながらも少しだけさくりとした食感を残した肉は、噛み締めると柔らかくほどけて――途端にあふれ出す、肉汁と脂。それは衣と交わり、美味を生み出す。]